ε-N論法

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今回は大学数学で通る第一関門のε-N論法を極力わかりやすく解説します。

導入

キュー
今日は数列の極限値\(\alpha\)を求める方法を教えたるわ。
ラク
ん?高校で習う分子分母を約分したり有理化したりする方法じゃだめなのか?
キュー
その方法だけやと厳密な値を求めたことにはならんのや。

ε-N論法とは

ε-N論法は以下のように定義されます。

正の数\(ε\)をどんなに小さくしても、ある自然数\(N\)が存在し、
\(n\)が\(n \geq N\)ならば、\(|a_n – \alpha| < ε\)となるとき、\[\lim_{n \to \infty} a_n = \alpha \]となる

これだけでは、いきなり出てきた\(n\)って何!?とか、\(ε\)をどんなに小さくしてもってどれくらい?とか混乱してしまいますよね。

一つ一つ詳しく見ていきましょう。

まず、\(ε\)に関して、正の数でどんなに小さくしてもということは\(ε = 0.01\)であっても、\(ε = 0.00000001\)であっても、0以下にならなければ良いということになります。

次に、ある自然数\(N\)が存在して\(n\)が\(n \geq N\)ならば、と言う表現ですが、これは数列を見てみましょう。数列が、\[a_0,a_1,a_2,・・・a_{N-1},a_N,a_{N+1},・・・\]とあるとすると、\(n \geq N\)になる項とは第N項以降を示しているので\[a_N,a_{N+1},・・・\]の部分が該当します。すなわち、\[a_N,a_{N+1},・・・\]に対して仮定した極限値\(\alpha\)との差\(|a_n(=a_N,a_{N+1},・・・) – \alpha| < ε\)が先ほどの\( ε = 0.00000001\)より小さく抑えられた場合に、はじめてその仮定した極限値の値が正しいかったと言えるのです。

ε-N論法を用いた例題

では具体例を挙げて見てみましょう。

一般項\(a_n\)が\(a_n=\frac{n-1}{n+1} (n=1,2,3,・・・)\)で与えられているとき、\[\lim_{n \to \infty} a_n = 1 \]となることを、ε-N論法を用いて示せ。

ε-N論法の問題は基本的に極限値が提示されているので、その値が正しいかどうかを検証するといった流れになります。これがもし「極限値を求め、その値が正しいかε-N論法用いて示せ。」の場合は高校までの求め方で極限値を求めた上でε-N論法を使うといった流れになります。

高校までの流れ

高校では次のように求めました。

\begin{eqnarray}\lim_{n \to \infty} a_n &=&\lim_{n \to \infty} \frac{n-1}{n+1}\\&=&\lim_{n \to \infty} \frac{1-\frac{1}{n}}{1+\frac{1}{n}}\\&=&1 \end{eqnarray}

このことからも極限値\(\alpha\)の値が\(1\)になりそうですね。

ε-N論法の場合

ε-N論法を使う場合は定義に当てはめて、以下のように解釈します。

正の\(ε\)をどんなに小さくしても、ある自然数\(N\)が存在し、\(n\)が\(n \geq N\)ならば、\(|a_n – 1| < ε\)となる。

これが示せればOKというわけです。

では早速求めていきましょう。

証明では\(|a_n – 1| < ε\)に注目し、この式に\(a_n=\frac{n-1}{n+1}\)を代入します。

\[|\frac{n-1}{n+1} – 1| < ε\]

これを変形し、\(n\)について解くと、\(n > \frac{2}{ε}-1\)が得られます。

ここで、εは限りなく小さい正の数なのでnの値は正の値に発散することがわかります。

その正の値に発散するnに対して\(n \geq N\)となるような自然数\(N\)が存在するかということですが、\(n\)が無限に膨れ上がる正の数なら、その\(n\)よりも小さい自然数\(N\)が存在することは自明ですよね。

これより、\(n \geq N\)とすれば\(|a_n – 1| < ε\)が成り立つといえるので、\[\lim_{n \to \infty} a_n = 1 \]が正しいといえます。

更に深く学びたい方へ

ここではε-N論法の簡単な定義や初歩的な問題を紹介させていただきましたが、更に詳しく学びたいと言った方には以下のような参考書があります。

また、例題をもっと解いてみたいと思う方には同じ著者が編集した問題集もあります。

一念発起して数学にチャレンジしたい社会人の方や、大学生の方で試験間際の方の対策にはかなり役に立つのではないでしょうか。

まとめ

ラク
なるほど、どっちかって言うと正しく求めるというよりは求めたものが正しいか確認するための手法ってことか!
キュー
せや。答え自体はあらかじめわかってるから解き方さえ慣れてしまえばそんな難しくないで。
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投稿者: TS

ゲームと数学のことを主に書いてます! アドバイスやご指摘があれば是非お願いします!!

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